カラスと呼ばれた くろい鳥は じっと岩のうえにたたずんでいました。
「あのとがったくちばしの なんておそろしいこと!」
「とてもしわがれた声でしゃべるのよ」
「ちかよってはいけませんよ 千夜鳥」
夜の精たちは くちぐちにちゅういしました。
けれど まっ黒な羽や するどいくちばし
すべてがなんとりっぱなことでしょう。
「まるで王さまみたいだ。」
ちいさい千夜鳥はあこがれました。
そしてある日 どきどきしながら はなしかけることにしたのです。
~ 千夜鳥のものがたり ~より